こんにちは、たけもとです。
転職、副業、昇進…様々なキャリアの選択が取れる現代、どのキャリアを選ぶべきか、迷う方も多いのではないでしょうか。
何を大切にキャリアを選ぶべきか…迷っている際に考えたいのが「キャリアアンカー」という概念です。
自身が何を大切にしているのか、自身のタイプを見定めることで、キャリアを選ぶ際の大きな軸になります。
本記事では、キャリアアンカーの8つのタイプやその重要性について、詳しく解説します。
皆様自身のキャリアアンカーが明確になり、未来のキャリア選択に自信と方向性を見出す材料になれば幸いです。
キャリアアンカーの概要
キャリアアンカーとは
キャリアアンカーは、個人のキャリアを方向づける、譲れない核となる要素のことを言います。
出世、経済的な成功、ワークライフバランス…等、人生で大切にするものは人により大きく異なります。
この「何を譲れないか」は、人生を航海に例えた時、外的要因にも流されない錨(アンカー)となる要素と言えます。
計8つの類型から自分のタイプを見定めて、将来のキャリア選択の軸にすることで、自分らしい、ブレのないキャリア選択に繋げられます。
キャリアアンカーの意義
現代社会は、VUCAの時代と呼ばれ、変化が激しく、未来の予測が非常に難しくなっています。
VUCA
Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった言葉。
=将来の予測が困難な状態である時代のことを指す。
終身雇用制度が崩壊し、転職や副業が当たり前になった現代は、過去かつてないほどにキャリアの選択肢が幅広くなっている時代と言えます。
選択の自由の恩恵を受け取れる一方で、どのようなキャリアを歩むべきか、判断しきれずに悩みを抱える人も少なくありません。

このような時代においては特に、キャリアアンカーで自身のタイプを把握することに意義があります。
幅広いキャリアの選択肢の中から、主体的に自分らしいキャリアを選ぶために、積極的に役立てたい概念です。
キャリアアンカーの8つのタイプ
キャリアアンカーは、仕事に対する価値観や優先順位により、下記の8つのタイプに分類されます。

ぜひ、自身でどのタイプになるか、「譲れないもの」を軸に、ご覧になってください。
分類 | 概要 |
---|---|
①専門・職能コンピタンス | 自身の専門領域において、経験や才能をフルに活かすことに満足を感じるタイプ |
②全般管理コンピタンス | 組織の中で出世して、経営者になることに充足感を感じるタイプ |
③自律・独立 | 自分のやり方やペースを守って仕事をするのが大切だと考えるタイプ |
④保障・安定 | 経済的な保障や経済的な自身の安定性を最優先に考えるタイプ |
⑤起業家的創造性 | 危険を顧みずに、会社や自身の事業を興すことに幸福感・充足感を感じるタイプ |
⑥奉仕・社会貢献 | 環境問題や貧困問題といった世の中を良くする課題の解決に価値を感じるタイプ |
⑦純粋な挑戦 | 解決が難しそうに見える問題に挑戦して解決・打ち勝つことを追求するタイプ |
⑧生活様式 | 公的な仕事の時間と、個人の時間の両方を大切にしたいと考えるタイプ |
それぞれ独自の特徴があり、個人のキャリア選択や働き方の傾向を理解するための一つの指針となります。
以下、各タイプの詳細を解説します。
①専門・職能コンピタンス
タイプ | 重視すること | キーワード | 職業例 |
---|---|---|---|
①専門・職能コンピタンス | 特定の専門分野や職能の能力で能力を高めて発揮すること | 専門性追求、知識・スキル活用 | エンジニア、医師 |
専門・職能コンピタンスの人は、特定の専門分野や職能において、自分自身の専門的な能力発揮に大きく価値を見出します。
自身のスキルや知識を深め、その分野のエキスパートとして認められることに喜びを感じるタイプです。
最新の技術を習得し、複雑な問題を解決するエンジニアや、難病の治療法を研究する医師などがこのタイプに該当します。
②全般管理コンピタンス
タイプ | 重視すること | キーワード | 職業例 |
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②全般管理コンピタンス | 組織全体の目標達成に貢献すること | 組織統括、資源活用、目標達成への貢献 | 経営者、事業部長、プロジェクトマネージャー |
全般管理コンピタンスの人は、組織全体の目標達成に貢献することに喜びを感じます。
多様な資源(人、モノ、金、情報)を効果的に管理・統括する能力に長け、チームを導くことにやりがいを見出します。
組織を管理・主導する仕事として、企業の経営者や事業部長、プロジェクトマネージャーなどがこのタイプに該当します。
③自律・独立
タイプ | 重視すること | キーワード | 職業例 |
---|---|---|---|
③自律・独立 | 自分のペースで仕事を進め、他者からの干渉を受けずに働くこと | 自己決定権、自由な働き方、裁量権 | フリーランス、コンサルタント、アーティスト |
自律・独立の人は、他者からの干渉を受けずに、自分のペースで働きたいと強く望みます。
自由な働き方や裁量権を重視し、組織のルールや制約に縛られることを嫌うタイプです。
フリーランス、コンサルタント、アーティストなど、自分の時間や方法で仕事ができる職種に魅力を感じます。
④保障・安定
タイプ | 重視すること | キーワード | 職業例 |
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④保障・安定 | 組織全体の目標達成に貢献すること | 安定した雇用、福利厚生、将来の予測可能性 | 公務員、大企業の社員、教員 |
保障・安定の人は、安定雇用・将来の予測可能性を最も重視します。
企業の安定性、福利厚生、退職金制度など、経済的な安定と精神的な安心感を求めて、長期的な保障がある環境で働こうと考えます。
安定性をキーワードに、公務員や大企業の社員、教員などがこのタイプに該当します。
⑤起業家的創造性
タイプ | 重視すること | キーワード | 職業例 |
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⑤起業家的創造性 | 新しいビジネスやサービスを立ち上げ、自分のアイデアを実現すること | 新しいもの創造、アイデア実現、リスク挑戦 | 業家、新規事業開発、発明家 |
起業家的創造性の人は、新しいビジネスやサービスを立ち上げ、自分のアイデア実現に情熱を燃やします。
リスクを恐れず、困難な状況でもチャンスを見出したり、既存の枠組みにとらわれずに新しい価値を創造しようとします。
新しいものを創造する起業家、新規事業開発者、発明家などがこのタイプに該当します。
⑥奉仕・社会貢献
タイプ | 重視すること | キーワード | 職業例 |
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⑥奉仕・社会貢献 | 社会や他者に貢献すること | 社会貢献、他者支援、倫理観・使命感 | NPO職員、教師、医療従事者、ソーシャルワーカー |
奉仕・社会貢献の人は、仕事を通じて社会や他者に貢献することに大きな意味を見出します。
自分の仕事が周囲や社会の役に立つことに喜びを感じ、倫理観や使命感に基づいて、金銭的な報酬よりも、仕事の社会的な意義を重視します。
NPO職員、教師、医療従事者、ソーシャルワーカーなどがこのタイプに該当します。
⑦純粋な挑戦
タイプ | 重視すること | キーワード | 職業例 |
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⑦純粋な挑戦 | 困難な課題や競争に直面すること | 困難な課題克服、競争、自己成長 | アスリート、コンサルタント、営業職 |
純粋な挑戦の人は、困難な課題や競争に直面して成長することに喜びを感じます。
解決が難しい問題に取り組むことや、高い目標を達成することにやりがいを見出し、常に自分自身の成長を求め続けます。
アスリート、コンサルタント、営業職など、常に新しい挑戦が求められる職種に魅力を感じます。
⑧生活様式
タイプ | 重視すること | キーワード | 職業例 |
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⑧生活様式 | 仕事とプライベートの調和 | 仕事とプライベートの調和、柔軟な働き方 | リモートワーカー、フリーランス |
生活様式の人は、仕事とプライベートの調和を最も重視します。
仕事の柔軟性や自由度を求め、自分のライフスタイル(家族との時間、趣味、自己啓発等)を重視し、仕事以外の活動も大切にします。
リモートワーカー、フリーランス、ワークライフバランスを重視する企業で働く人などがこのタイプに該当します。

自身に当てはまるタイプはありましたか。
なお、これらの8つのタイプは、必ずしも一つのタイプに完全に当てはまるわけではなく、複数のタイプを併せ持つこともあります。
重要なのは、自分にとって何が最も譲れない価値観や欲求なのかを、社会や他人を差し置いて、「主観的に」深く掘り下げることです。
キャリアアンカーの重要性・メリット
キャリアアンカーの理解は、変化の激しい現代では、個人だけでなく、企業にも重要な概念になります。
繰り返しますが、個人でのキャリアアンカー活用の最大のメリットは、
VUCAの幅広いキャリアの選択肢のなかで、自分らしさ・主観性を大切にしたキャリア選択ができる
ことだと言えます。

外的な要因に左右されない、「自分だからこそ」のキャリアを選ぶことは、長期的にその仕事で楽しく・充実感を持って働くことにもつながります。
また、新しい環境や未経験の業種にキャリアを変える際にも、キャリアアンカーを把握しておくことで、ミスマッチをできる限り減らし、自分に合った公開のない選択とすることにも役立ちます。
キャリアアンカーを見つけるために
自分でこのタイプだ、と判断するだけでも十分ですが、「自分のタイプがいまいちつかめない」「より正確にタイプを把握したい」という方に向けたキャリアアンカーの把握の方法をまとめます。
自分への質問
まずは自分自身に対して、これまでの仕事を振り返って、深堀質問をしてみましょう。
自分への質問例
•どのような仕事や活動で「やりがい」を感じましたか? その時、具体的に何をしましたか?どんな状況でしたか?
•どのような状況で「充実感」を得られましたか? どんな成果を出し、誰からどんなフィードバックを受けましたか?
•困難な状況をどう乗り越え、何を学びましたか? どんな能力を発揮し、どんな価値観を大切にしましたか?
•どんな時に「自分らしい」と感じましたか? 逆に、どんな時に「自分らしくない」と感じましたか?
•仕事で、どうしても譲れないことは何ですか? (例:安定、自由、専門性、社会貢献など)
上記を参考に、これまでの仕事で大切にしてきた・大切だと感じたことを整理することで、キャリアアンカーのヒントが見つかるでしょう。
キャリアアンカー診断テストの活用
キャリアアンカーを診断するための、オンライン診断ツールも提供されています。

「キャリアアンカー 診断テスト」と検索すると、いくつか出てきます。
一度受けてみるのがおすすめです!
こうしたテストは、客観的にキャリアアンカーのタイプを理解したい時に役立ちます。
ただし、診断結果はあくまで一つの指標として扱い、結果に囚われすぎずに、自身の内面と照らし合わせて解釈するのがポイントです。
信頼できる人からのフィードバック
上記は自分一人で分析できますが、信頼できる人からの客観的なフィードバックも非常に大切です。
上司、同僚、友人、家族など、皆様の身近で、皆様のことをよく知る人に尋ねてみましょう。
強みや弱み、仕事への姿勢、価値観などについて、自分では気づかなかった側面が明確になることがありますよ。
キャリアアンカーの活用方法
自分のキャリアアンカーが明確になったら、次はそのアンカーを実際のキャリアにどう活かすかが重要ですよね。
キャリアアンカーは自己理解のツールですが、そこから具体的な行動や意思決定をすることで、本来の効果を発揮します。
ここでは、キャリアアンカーをキャリアに活かす具体的な方法を紹介します。
転職・キャリアチェンジの判断基準として
転職やキャリアチェンジを検討する際、給与、会社の知名度、福利厚生などを中心に考えるケースが多いでしょう。
しかし、最も重要なのは、その選択が自身のキャリアアンカーに合致しているかです。
例えば、「専門・職能別能力」がアンカーの人は、単なる給与以上に、特定の技術や知識を深められる環境か、その分野でエキスパートとして認められる機会があるかを重視するのが好ましいでしょう。
自分のアンカーを明確な判断基準とすることで、後悔のない転職やキャリアチェンジが可能になります。
現在の会社内で
転職だけがキャリアアンカーを活かす方法ではありません。
現在の会社内でも、
・上司に相談して自分のアンカーに合う業務の割合を増やす
・自ら機会を創出したり、事業に参加したりする
・自分のキャリアアンカーを強化するスキルや知識の習得に注力する
・仕事とプライベートの調和を重視したライフスタイルに調整する
といった具合で、自分の望むキャリアに近づくためのアプローチに繋げられます。

まとめ
以上、キャリアアンカーについて、8つのタイプや重要性、選び方などについての解説でした。
キャリアアンカーは、変化の激しい現代だからこそ、私たちが自分らしいキャリアを築くための強力な羅針盤として重要性が高くなっています。
自身のキャリアアンカーを明確にすることで、表面的な情報や他者の意見に流されることなく、心から納得できるキャリア選択が可能になります。
より幸福で生産的な生活の土台づくりとして、ぜひ皆様自身のキャリアアンカーを探求し、今後のキャリア選択の軸を作ってみてはいかがでしょうか。
それでは、最後までご覧いただき、ありがとうございました。