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【フィラメント解説】PETGについて|丈夫さと印刷のしやすさを合わせ持つ。耐熱温度の高さも特徴

2025年1月31日

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3Dプリンターで印刷したギア

こんにちは、たけもとです。

本記事では、3Dプリンターのフィラメント素材の1つ、PETGについて解説していきます。

印刷のしやすさと丈夫さを合わせ持つ優れた素材ですが、使用や保管についての注意点もあり、メリットやデメリットについて見ていきたいと思います。

はじめに

PETGの概要

素材の特徴

PETG(ポリエチレンテレフタレートグリコール)は、ペットボトルでおなじみのPET(ポリエチレンテレフタレート)を改良した素材で、PETよりも加工がしやすく、強度や透明度を合わせもつ点が特徴です。

家庭用の3Dプリンターで主に使用される素材としてはPLAやABSが中心となっていますが、このPETGが加工のしやすさと強度の高さから、現在注目されるようになっています。

身近な例

身近に使われている例としては、化粧品や洗剤などの容器、図書館の利用カードなどのパーツ類に使用されています。

ポイント

先に本記事で触れるPETGのポイントについて整理します。

メリット・特徴
・強度、耐衝撃性が高い
・印刷がしやすい
・耐熱性が高い
・光沢感、透明感のある表現

デメリット・注意点
・吸湿性が高い(糸引きの発生)
・表面の傷つきやすさ
・紫外線に弱い

主な用途
・治具、工具
・ギア、パーツ類
・容器、ケースなどの日用品

それでは以下、詳しいところについて見ていきます。

解説

メリット・特徴

強度、耐衝撃性が高い

PETGの特徴の一つが、強度や耐衝撃性が高いことです。

主要なフィラメントの一つであるPLAに比べてもこの耐衝撃性が強みとなるため、より丈夫さ・頑強さが求められるシーンで活躍します。

身近な例でいうと、治具やギアなどの可動部品などで用いられています。

印刷がしやすい

上記の丈夫さでいうと、ABSも同じように丈夫さが特徴の素材になります。一方で、ABSは熱収縮による変形が生じやすく、特に大き目の印刷物を造形すると、反りが目立ってしまうところが課題になっています。

PETGは丈夫さがありながらも、ABSに比べても熱収縮が少なく、印刷の精度が安定しています

耐熱性が高い

印刷のしやすい素材であるPLAの課題の一つが、耐熱性の低さでした。(60℃を超えたところから変形しやすくなってしまう)

PETGは70℃〜80℃程度までの耐熱性があり、より高い温度まで、変形せずに形状を保つことができます。

光沢感、透明感のある表現

光沢感・透明感があるのも特徴の一つです。

透明のフィラメントを使うことで、色付きのフィラメントにはない表現をすることができます。

身近な例として、化粧品やシャンプーなどのボトルにも使用されています。

デメリット・注意点

吸湿性が高い(糸引きの発生)

湿気を吸いやすい点が課題になります。

吸湿してしまったフィラメントを使用すると、糸を引いたり、うまく造形ができないケースに繋がってしまいます。使用後には容器に保管したり、フィラメントケースの中に除湿剤を入れて使用する等の対策が求められます。

また、糸引きについては、印刷時の温度設定も、使用するPETG素材に適ったものになるよう、しっかり調整したいところです。

表面の傷つきやすさ

もう1点、表面が傷つきやすい点が注意点になります。

光沢感や透明感が特徴でしたが、印刷物を使用する環境について考慮の上、印刷物に使うかどうかを検討したいですね。

紫外線に弱い

紫外線には弱く、長時間紫外線にさらされると、変色したり劣化する可能性があります。

屋外での使用には向かないほか、保管場所にも気を付けたいところです。

補足

参考商品

①Polymaker PolyLite PETG

カラーラインナップが豊富です。スプール(糸巻き)は紙製で処分も容易。オーソドックスな使用感。推奨印刷速度は50mm/sとのことで、印刷時には意識しておきたい。

②Bambu Lab PETG

Bambu Labの純正品で、RFIDにも対応し、Bambu Labのスライサーでの印刷の設定が容易。最大300mm/sの速度に対応。PETGの特徴の丈夫さに加えて、屋外使用対応がアピールポイントで、プランターポットや鳥かごといったアイテムにも対応。

③Creality PETG フィラメント 透明

PETGの特徴の一つである、光沢感・透明感を生かすことのできる透明フィラメント。

フィラメントごとの特徴一覧

Bambu Lab A1 Miniに対応している4種類のフィラメントを比較した表が以下になります。

PLA
(ポリ乳酸)
PETG
(ポリエチレンテレフタレートグリコール)
TPU
(熱可塑性ポリウレタン)
PVA
(ポリビニルアルコール)
メリット・特徴・手軽に印刷が可能
・印刷の寸法が安定する
・コストが安い
・強度、耐衝撃性が高い
・印刷がしやすい
・耐熱性が高い
・光沢感、透明感のある表現
・柔軟性が高い(曲げられる)
・耐摩耗性、耐衝撃性が高い
水に溶ける
→複雑な造形物の印刷に役立つ
デメリット・注意点・耐熱性が低い
・耐衝撃性が低い
・表面処理や塗装にあまり向かない
・吸湿性の高さ(糸引きの発生)
・表面の傷つきやすさ
・紫外線に弱い
・造形が少し難しい
・吸湿性が高い(糸引きの発生)
・湿気にかなり弱い
・コストが高い
・サポート材の使用の知識が必要
用途・雑貨
・玩具、模型
・大型の印刷物
→汎用性が高い
・治具、工具
・ギア、パーツ類
・ケースなどの日用品
→強度が求められるもの
・ケース類(スマートフォンカバー等)
・緩衝材、キャップ、パッキン
・スタンプ
→丈夫さと柔軟性が求められるもの
サポート材
→他のフィラメントと組み合わせて、PVA素材部分のみ溶かすことで、複雑な形状を印刷可能
価格安価

例)1kg:2000~4000円
やや高価

例)1kg:2500~5000円台
やや高価

例)1kg:2500~4000円台
高価

例)500g:3000~5000円台
強度あまり高くない高め(丈夫)高め(柔軟)あまり高くない
対応温度目安:ノズル190~220℃220~250℃210~230℃190~220℃
対応温度目安:ベッド0~60℃50~80℃0~60℃0~60℃

こちらについては、下記の記事でまとめています。

まとめ

以上、フィラメントについての解説でした。改めて、ポイントを整理します。

メリット・特徴
・強度、耐衝撃性が高い
・印刷がしやすい
・耐熱性が高い
・光沢感、透明感のある表現

デメリット・注意点
・吸湿性の高さ(糸引きの発生)
・表面の傷つきやすさ
・紫外線に弱い

主な用途
・治具、工具
・ギア、パーツ類
・ケースなどの日用品

印刷のしやすさではPLAも使用候補になりますが、丈夫さを求める場合はPETGの方が適切と言えるでしょう。一方でPLAに比べて吸湿性が高いなどの課題を持ち合わせているため、用途や環境に応じて、使い分けたいですね。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。よろしければ、下記の関連記事もどうぞご覧ください。

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