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【レビュー】静かな退職という働き方 |欧州では当たり前。日本で選ぶ上でのギャップを理解する

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こんにちは、たけもとです。

皆様は「静かな退職」という働き方をご存じでしょうか。

時間とエネルギーを仕事以外の他の活動に充てるべく、出世や昇給を目指さずに、最低限の業務のみ行う働き方のことです。

私自身、副業を進めているうちにこの働き方が気になり、解説してくれる書籍として「静かな退職という働き方」を読んだので、レビューしていきます。

従来の働き方とはギャップがある「静かな退職」について知りたい方、今後の会社での働き方を広い視野で考えたい時に読みたい1冊です。

静かな退職という働き方 の概要

「静かな退職」とは、企業を辞めるつもりはないものの、出世・昇給を目指さずに、最低限やるべき業務のみこなす働き方のこと。

・言われた仕事はやるが、会社への過剰な奉仕はしたくない。
・社内の面倒くさい付き合いは可能な限り断る。
・上司や顧客の不合理な要望は受け入れない。
・残業は最小限にとどめ、有給休暇もしっかり取る。

この最低限の働き方は、会社の生産性が下がり目標達成が難しくなることから、旧来の働き方に慣れた人間は納得することができない。

そこで著者は、「静かな退職」が生まれた社会の構造変化を解説するとともに、管理職、企業側はどのように対処すればよいのかを述べていく。

著:海老原 嗣生
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静かな退職という働き方 のポイント

本書では、日本型の労働について、海外と比較を行いながら、「静かな退職」が適用できるかや、その働き方を選ぶ際のポイントについて述べています。

その本書のポイントを、大きく3つに分けて整理します。

ポイント

① 海外では「静かな退職」が標準的
② 日本にも浸透する「静かな退職」
③ 「静かな退職」を行うために

ポイント① 海外では「静かな退職」が標準的

はじめに、日本と海外の働き方や仕事のあり方の違いについて、本書で挙げられた例を参考に整理していきます。

日本海外
残業ありなし
例:商品の梱包外箱が汚れているだけで返品・交換。梱包には傷があってもクレームはない。
例:商品開発年に40もの新商品を出す。新商品はあまり出さず、定番商品がほどんど。
傾向顧客の細かな要望にも応える。提供するものには、明確に限度を設ける。

また、残業に関連して、興味深いエピソードが提示されていましたので、要約します。

著者の知人が欧州で旅行した際に、バスが大渋滞に巻き込まれ、時間までに目的地に到着しなかった。
そこでバスは目的地でなく、道中の車庫に向かい、全員が降ろされた。
バスの運転手からは、定時になったから運転は終わり、あとは各自で会場に向かうよう言われる。
日本人(と中国人と韓国人)は文句を言ったが、欧州の人は当然のように解散した。

まず言えるのが、日本的な働き方は顧客の細かな要望にまで応えるべく、時間や労力を投じていること。

そして、日本ではまだ馴染みの少ない「静かな退職」は、欧州では標準的な働き方ということです。

加えて言及されているのが、「労働は手を抜くほど生産性が上がる」ということ。

例えば上記のエピソードだと、会場までの別の交通機関を使うことになり、新しい消費=新しい生産が生まれています。

「手を抜く」というと語弊がありそうですが、必要なことだけやる、というニュアンスだと考えます。

ここでキーワードになるのが「ブルジット・ジョブ」という語。

「付随的な仕事」という意味で、仕事の成果には直結しないような、いわば無駄な仕事といえるものです。

日本の丁寧な働き方、所定の時間を超えても顧客や企業に貢献するクオリティの高さは評価されるものである一方、先進国としては欧州的な働き方が一般的。

先進国の中でも日本の働き方が異質と言えるものだといい、その丁寧さが必要以上のものだと、生産性の低下にも繋がり得ます。

ブルジットな要素を捨て去り、必要なこと・本質的なことに絞って仕事をする。これが「静かな退職」でも求められる考え方になります。

ポイント② 日本にも浸透する「静かな退職」

日本的な労働だと、忙しい毎日が再生産される仕組みとなっています。

ここでも、日本と海外の給与やキャリアのあり方を整理して、考えていきます。

日本海外
年収に占める賞与額多い
=海外と同じ年収とすると、月収が少ない
少ない
残業での割増率小さい
→企業が残業を抑える機運が高まりにくい
高い
昇給率高い小さい
定年時の年収減大きい小さい
若者の就職欧州よりも高い賃金で歓迎される能力面から低めの賃金
資格取得・キャリアアップ本人の努力で可能性が十分にある制度が壁となり難しい
傾向若者をどこでも歓迎するが、歳を重ねていくほどに昇給、給与水準維持の努力が絶えず必要。若者は就職面、収入面で大きな苦労が伴うが、シニアでも年収が下がることなく安定した生活が可能。

給与の向上や将来的な安定を維持するため、昇進・昇給を目指して働くのが日本的なスタイル。

ゆえに、プライベートや育休・時短勤務という選択は取らず、いわば忙しさを肯定した働き方になっています。

この働き方は、長年にわたって強固に日本に存在しているものです。

しかし、ハラスメント類の認知、コロナ禍でのリモート勤務、女性の社会進出の広まりから近年、働き方が従来から変わらざるを得ない状況が生まれています。

その中で、かつては異分子とされていたプライベートや家庭を大切にした働き方、今回で言う「静かな退職」が市民権を獲得し始めた状況です。

本書では、女性の社会進出が主な背景となっているとして、順を追って詳しく解説しています。

ポイント③ 「静かな退職」を行うために

静かな退職を行う上でキーワードになるのが、「持ち出しは少なく、パフォーマンスは最大限に」。

つまり、限られた時間の中で、いかに作業や生産活動に要する時間・手間を抑えつつ、業績を上げられるかということですね。

具体的な例を、いくつか紹介します。

・マナーを重要視し、相手へ良い心証を与える。
・作業時に「業績に繋がるか」を常に考え、仕事の取捨選択を行う。
・自分の労働時間に関わること以外は、議論・反論を行わない。

どこの会社でも効率的な仕事は求めていることかと思いますが、ポイント①で触れたような「ブルジットな要素」をいかに減らすかが重要です。

仕事単位だけでなく、一つ一つの作業単位で考えると、存外見つかるかもしれません。

また、静かな退職を行いやすい条件として、下記2点が挙げられていました。

・ホワイトカラーの仕事:現場作業だとタスクが否応なく割り振られてしまうため。
・規模がある程度大き目の会社:人数が少ない会社だと、上位者の意向の影響を直接受けやすいため。

自分ひとりで仕事を持てる、自分自身で判断ができるような仕事が適していると言えそうです。

なお、静かな退職を選ぶということは、年功昇給が続く日本型の働き方とは決別するということになります。

会社での昇給は望まず、ワークライフバランスの充実や、副業での収入を望む人が、しっかりと判断をしたうえで取る選択肢となります。

静かな退職で生んだ時間を何に充てるのか、じっくり整理したうえで選択したいですね。

※静かな退職の詳細(メリット・デメリット、行う上での留意点など)は下記でまとめています。

静かな退職という働き方 を読んでみて

現代の日本と海外の働き方と比べながら、静かな退職がどのような意義があるのかを、ロジカルに解説した1冊。

「静かな退職」との距離が近しい海外を比較対象として、日本的な働き方と「静かな退職」の間に存在するギャップをはっきりと認識することができる本でした。

私は、日本的な雇用が当然のものという認識で本業の会社での仕事をこなす一方、副業に取り組むなかで、「限られた時間を、成果のある仕事だけに絞りこんで使わなければ」という意識が徐々に芽生えてきました。

海外との距離が狭まる今日、その働き方が日本にも流入・浸透している背景もありますが、「静かな退職」により、自分がフォーカスを当てるものを明確にして仕事をすることに、キャリアの広がりの可能性を感じます。

この「静かな退職」は、ワークライフバランスを取りながらキャリアを積めるところがメリットである一方、自己責任・自己判断を心に留めておかなければならないです。

「時間を作り出す」という自分の希望を実現するために、会社で手に入れられる可能性のあったキャリアをあえて諦めたり、時には上司の命令通りとはならない形で自分なりの効率的な仕事の判断を行うなど、リスクを取る判断をしなくてはなりません。

この選択には、勇気が必要になるかもしれません。

ただ、私が言えることとして、このような自己判断にトライして、何が必要/不要な仕事なのか、線引きを的確に行えるようになることには、副業や会社以外の活動でも通じる、自分の中に残る有意義な成長になると考えます。

少なくとも、「静かな退職」実践する前には、しっかりその働き方を選ぶ理由、生まれた時間とエネルギーを何に使うのかを、必ず整理しておきたいところです。

静かな退職という働き方 がおすすめな方

おすすめの方

・「静かな退職」という働き方の理解を深めたい、実践したい方
・会社の外のキャリアとして、副業やその後の独立を考えている方
・広い視野で、現状の会社での働き方を見つめ直したい方

日本的な働き方と「静かな退職」の間のギャップを理解することで、「静かな退職」を選ぶ動機がより明確になることが、本書を読むことで得られるものです。

会社での稼ぎやキャリアアップは今も昔も大切なものである一方、終身雇用制が崩壊している現代、会社の外にキャリア成長・キャリア構築の機会を探す機運が高まっています。

会社外のキャリアを考えている方、今の会社だけでの働き方に疑問がある方の、判断材料になる1冊です。

まとめ

以上、書籍「静かな退職という働き方」のレビューでした。

特に20代~30代の若手が、これからの会社での働き方を考える際に一つのテーマとして設定してみると、新たな発見があるかもしれません。

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