キャリア・転職

【書籍レビュー】仕事のモヤモヤに効くキャリアブレイクという選択肢|自分に向き合うための休暇期間

2024年12月4日

こんにちは、たけもとです。

今回は北野貴大氏の書籍「仕事のモヤモヤに効くキャリアブレイクという選択肢」について、レビューします。

聞き慣れないキャリアブレイクという語ですが、仕事を通して社会に関わる中で、迷いや悩みが生まれた際の一つの手段として、知っておきたい概念だなと感じます。

今の仕事や働き方に対して、もやもやした感情がある方におすすめの一冊です。

ぜひ最後まで、ご覧ください。

書籍概要

著者について

著者は北野貴大氏。

自宅の2階を宿泊施設にした「おかゆホテル」にて、キャリアの中にあるブレイク期間、すなわち「キャリアブレイク」の中にいる宿泊者と関わります。そこで人生の転機にある宿泊者の思いに触れあううちに、このキャリアブレイクを日本の文化にしていきたいという思いから、一般社団法人キャリアブレイク研究所を設立しています。

北野さんは、500人以上の離職経験者の方々にインタビューを行い、その経験に基づいて本書を執筆されています。キャリアブレイクに関する豊富な知識と、多様な視点から得られた貴重な情報を、この本に凝縮しています。

書籍の概要

本の概要

本書は、日本ではまだまだ文化として浸透していない「キャリアブレイク」という概念について紹介し、キャリアの中の休暇期間を取ることも、キャリアの選択肢のひとつとなることについて記載されています。

一見するとキャリアのなかで休暇期間を設けることは、無職と変わりがないのではと一把一絡げに捉えられたり、「履歴書の空白は不利になる」といった認識も世の中にあったりで、なかなか選択するのに勇気が要りますよね。このようなキャリアブレイクに関するよくある悩みにも答えています。また、どのように仕事に戻っているか、新たな道を選んでいるかなど、復帰時の具体的な例の紹介もされています。

休養、留学、起業、ボランティアなど、キャリアブレイクの過ごし方は人それぞれ。様々なケースを紹介し、読者にキャリアブレイクが一つの選択肢となるヒントを与える一冊となっています。

要点整理

「キャリアブレイク」について整理

本書の核となる語ですので、すこし長めに整理していきます。

キャリアブレイクの定義

本の帯に定義らしいものが書いてあったので抜粋します。

【キャリアブレイク】
一時的に雇用から離れる離職、休職など、キャリアの中にあるブレイク期間のこと。

まず、キャリアブレイクという語、私はこの書籍に触れて初めて知った語でした。これは著者の造語などではなく、欧米やアメリカでは一般的な用語とのこと。会社を続けるか悩んだ際に、現状維持か転職といった選択肢がほとんどになる日本においては、新鮮な価値観かもしれません。

一見すると「無職」という言葉にまとめられてしまいそうで、実際に日本ではそうした認識が多いものと思います。ただ、キャリアブレイクは単なる「仕事からの逃避」ではなく、自分自身と向き合い、本当にやりたいことを見つけるための貴重な時間だとされています。休息はもちろん、スキルアップ、自己成長、そして新たな人間関係を築く機会になる期間となります。

キャリアブレイクの分類

大きく、下記の4つのパターンに分類されます。

概要・目的具体例世間とのかかわり
①ライフ型仕事よりも優先度の高い人生のイベントを乗り越える育休や産休、離職、けが、引っ越しや転勤、等一般的なイベントであるため、周囲の理解が得られやすい。
②グッド型心身の改善や自分の客観視、自分に合った環境の模索HSP等の特性を持つ人が、自身の特性と社会とのかかわりについて熟考する正しく分析し、自分に合った情報にたどり着ければ、国や自治体の支援がある場合も。
③センス型自分の個性や感性を生かした人生の模索一見仕事が順調に見えるような人が、自分の個性・感性が生かされていないことを疑問視する通常転職をするケースが多いが、それぞれがユニークな事例となるため、十分な理解が得られにくい。
④パワー型自身への可能性へ期待を持ち、挑戦するワーキングホリデー、世界一周旅行、芸術活動への没頭、等世間的にポジティブに見られるが、当の本人はプレッシャーや虚無感を感じる場合もある。

なお、単独の型に収まるばかりでなく、タイプの行き来も発生します。(キャリアブレイクのきっかけは①ライフ型だったが、自分と向き合う時間が増えて③センス型になった、等)

キャリアブレイクの5ステップ

下記の5ステップをたどると言います。

概要経過
①解放期とにかく飽きるまで休んで回復する時期今までできなかった小さな願望を叶えていく。小さな自己決定を積み重ねて、自分を元気にしていく。
②虚無期所属がないことへの不安感を感じ、次の行動を考え始める時期復職や転職活動などの行動をとり始める。ほか、キャリアブレイクを選択した理由を深堀して、より自分と向き合い始める。
③実は期本当の自分の声を聴き始める時期昔から思っていたこと、心の奥底に閉まっていたことを思い出す・改めて気づく
④現実期再び社会との距離を探る時期理想の実現のために不足しているスキルを理解したり、社会に繋がる前準備として、複数のアルバイトに参加する
⑤接続期自身のキャリアブレイクを定義する時期自分自身のキャリアブレイクの意味を定義づけし、社会に繋がっていく。

特に②の虚無期から、どのように自分自身と向き合っていくか、が重要だなと感じます。ブレイク前と似たような環境となるのか、抜本的に環境を変えるのか、どちらにしても、納得のいく判断をしてブレイク期間を終えたいものですね。

企業・エージェントから見たキャリアブレイク

Q&A形式で、企業やエージェントから見たキャリアブレイクについての見解がありましたので、数点抜粋します。

企業・エージェントから見たキャリアブレイク
・キャリアに空白期間があっても、理由がはっきりしていれば気にならない。隠さずに誠実であることを望む。
・3カ月程度であれば気にならなくても、1年からそれ以上となると、上層部の方で却下と判断されたケースがある。
・中堅~大手の人気企業では、選考者に比較対象も多く、休職期間がネガティブ要素と判断されると却下される。
・空白期間があっても、外資やベンチャーを中心採用実績はある。(トラディショナルな日本企業は難しい。)

採用担当やエージェント等の個人としての判断と、組織構造から取らざるをえない判断には、どうしてもギャップがあるようです。一方で、大企業内でキャリアブレイクを研修で扱うなど、幅広いキャリア育成・活用に活かすような動きも見られています。

キャリアブレイクからの復帰例

主に「復職」「転職」「独立」の3パターン。

転職や独立については、転機となっていることがイメージがしやすそうです。

復職となると、ブレイク期間を設けた意味が薄らいでしまいそうな印象もあります。ただ、そこに「納得感」があるかどうかが大切とのこと。改めて自身の環境の良いところに気づいたり、自分の強みを活かす働き方を同じ職場でトライしてみたり。環境が同じかどうかではなく、そこに自身が納得した気持ちで居るのか、自分の解決できなかった悩みや心のもやもやがなくなることに、ブレイクをとる意味があるのだと思います。

レビュー・感想

感じたこと・考えたこと

まず、仕事をしない期間がキャリアにできてしまうことへの恐れ、私もとても感じます。会社員として働く中で、自分にゆっくり向き合う時間はなく、働きながらなんとかひねり出した、少ない時間で自分のことを考える、というのが実情です。

ブレイク期間を設けたとしても、それ以降により良い暮らしが保証されているわけではない、むしろ復帰がしにくくブレイク前の生活水準より落ち込んでしまうのではないかと。ブレイク期間を設けることに対してのリターンの見込みが少ないという先入観が、自身をブレイクを取るという判断から遠ざけています。

一方で、以下の「印象的だった部分」の項でも述べるのですが、こうしてひねり出したくらいの短い時間のなかで出した結論では、十分に解決できなかった自分の気持ち、小さな課題が徐々に蓄積されていってしまっているのかなとも感じます。まとまった時間を設けて、自分と向き合い、細かいところから悩みや課題に対しての答えを出していくこと、それが結果的に大きな決断(例えば独立する等)の下支えになるものだと考えます。

著者が考えるように、「キャリアブレイク」という概念が幅広くなり、休職等を行う人が弱者ではない・休職をしても復帰しにくくない社会になればよいなと願うばかりです。

印象的だった部分

印象的に感じたところを数点、具体的にピックアップします。

筋が通っているように見えた転職活動は、好きや関心を無理やりひねり出すものだった

数ヶ月前に転職活動をしていたのですが、まさにこの感覚を覚えました。

これまで転職をした際に、これまでやってきたことと、次に行く会社ですることを、何とか無理やり繋げて面接対策をしていたなと思います。志望している会社は、実際に行きたいとは思っている会社のはずなのですが、どこか理由を作っているような。特に、変化を求めて、これまでとは別の系列の会社への転職を考える際に、その理由付けに、余計に、多分に、恣意が含まれる形となっていたと思います。

違和感を感じて、結局その転職活動はやめにしました。自分は転職でのキャリアアップではなく、副業や独立といった自分自身で行う仕事、自分のより関心のある領域での仕事がしたいんだなと感じ、こうしてまずはブログを始めてみています。

「私が私でなくなる違和感」という表現もありましたが、ちゃんと見て取れるわかりやすい自分らしさだけでなく、自分の心の中にほんの僅かに残っている自分らしさも、等しく大事にしたいと思いました。

自分に合わない価値観をブレイクする(壊す)

ダブルミーニングで、価値観を壊すことにも言及していました。今いる環境での価値観というのは違う環境に行けば簡単に壊せること、これはとても同意できることです。(だから転職等の環境を変える取り組みは迷わず行いたいところですが、早々簡単にできないのもまた事実で。自分の生活や安定を守ろうとするのは当然のことです。)

私もキャリアの中の空白期間はゼロでありたい/あり続けるべきだと考えている節がありますが、これも固定観念のようなもので、実際にそうした休息期間を設けることで、新しいなにかが見えてくるのだとも思います。(まだまだ積極的には考えられないのが実情ですが笑)

ただ、副業をする、本業の会社以外の場所で事業に関わるといった経験は踏んで、本業と距離を取れる余裕は少しずつ手に入れたいなとも思います。そうして距離を取ることで、きっと視野が広がるんだろうなと。

誰にも説明できない・理由もない けれどやりたいこと、は社会では無価値なのか

ブレイクの動機のうち③センス型に主に関わりますが、自分の感性を壊されずに守りたい/高めたいという気持ちはキャリアブレイクの動機たり得る一つです。個人的には、多くの人が悩みつつもなかなか解決できなかったりもする、最も課題性の感じられる型だと思います。

これからのビジネスシーンにおいても、こうした「感性」は欠かせないものになってくるといいます。キャリアの8割は偶発的な出来事で決まっている、という論文を例示していますが、ここから言えるのが「目標には固執せずに、偶然の出来事に興味を持ち、柔軟に挑戦できるほうがキャリアが開かれやすい」ということ。

けっこう、一般論や常識でがんじがらめになっているのかもしれません。自分の思い込みで自縄自縛の状態になっているだけかもしれません。もっと自分の感性を、信じてみて良いのかもしれません。

まとめ

以上、「仕事のモヤモヤに効くキャリアブレイクという選択肢」についてのレビューでした。

「頑張り方を知っていても、休み方を知らない人たち」という表現を本文でもしていましたが、そんな方ほど、ヒントが得られる一冊だと思います。

自分の中の小さな違和感も、大事にしていきたいと思いました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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